HLP(Hyperliquid Liquidity Provider)とは? プロトコルにネイティブ統合されたコミュニティ所有型の流動性提供ボールト

基礎知識

分散型デリバティブ取引所 Hyperliquid (ハイパーリキッド) において、ユーザーが資産を預け入れることで、取引所の「マーケットメイカー(板の厚みを作る存在)」として機能する共有の流動性プールを指す。

例えるなら…

取引所というカジノの「胴元」に加わる共同出資制度

特定の企業や大口投資家だけでなく、一般のコミュニティメンバーが資産を拠出することで、取引の相手方となり、その見返りとして取引手数料や清算益を分配する自律的な運用システムである。

3つの主要ポイント

1, マーケットメイキングによる収益
HLPは自動化されたアルゴリズムを用いて、常に取引板に注文を出す。トレーダーが支払う手数料や、トレーダーの損失(清算益)がHLPの利益となる。

2, プロトコルへのネイティブ統合
外部のサードパーティアプリではなく、HyperliquidのL1(レイヤー1)チェーン自体に組み込まれているため、高い信頼性と実行速度、そしてガス代の低減を実現している。

3, 透明なポートフォリオ管理
HLPが現在どの通貨でポジションを持ち、どの程度の利益(PnL)が出ているかは、オンチェーンですべてリアルタイムに公開されており、誰でも検証が可能である。

技術的背景と構造

歴史的背景

従来の中央集権型取引所(CEX)では、マーケットメイキングは専門業者(プロフェッショナル)の独占領域であり、一般ユーザーがその収益を享受する手段は限られていた。これに対し、Hyperliquidは「流動性の民主化」を目指し、プロトコル立ち上げ当初からコミュニティが所有する流動性プールとしてHLPを設計。2024年から2026年にかけて、その高い収益性と透明性から、Web3における「パッシブ(受動的)運用」の代表的モデルへと成長した。

メカニズム

HLPは一種の「インデックス・ボールト」として機能する。ユーザーが USDH (ユーエスディーエイチ) などの資産を預けると、HLPのシェア(持ち分)が付与される。内部のアルゴリズムは、取引所内の全ペアに対して動的に注文を出し、デルタニュートラル(市場の上下に左右されにくい状態)を維持しようと試みながら収益を積み上げる。2026年現在は、HIP-4 による予測市場の流動性提供も担い始めており、運用対象はさらに多角化している。

NOA's View

HLPは、Web3が掲げる「プロトコルの所有権をユーザーに返す」という理想を、最も収益的な形で具現化した仕組みである。トレーダーの対抗馬(カウンターパーティ)になるというリスクを負う代わりに、取引所が生む「価値の源泉」に直接アクセスできる。これは、単なる投資商品を超えて、ユーザー自身がインフラの維持に貢献し、その恩恵を直接受け取る「共生型エコシステム」の完成形と言えるだろう。

補足:関連用語とリンク

Market Maker (マーケットメイカー)

取引板に常に売りと買いの注文を出し、売買を成立しやすくする(流動性を作る)役割。

PnL (Profit and Loss)

損益のこと。HLPの価値は、取引所でのマーケットメイキングの結果(利益と損失の合計)によって変動する。

USDH (ユーエスディーエイチ)

Hyperliquidのネイティブステーブルコイン。HLPへの入金や、収益の計算基盤として広く用いられる。

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